2026.08.28

VG32とは?油圧作動油の粘度規格の意味と選び方を解説

札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

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札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

出光テクニカルマスター潤滑油1級 / 2級機械保全技能士

油圧作動油・工業用ギヤ油・グリースなど幅広い潤滑剤の性能・使用・管理方法に精通した専門チーム。省エネ油の導入シミュレーションを通じ、企業の経費削減・カーボンニュートラル推進もサポート。

「VG32ってどんな油?」設備の銘板や取扱説明書にこの表記を見つけて、意味が分からず検索した方も多いのではないでしょうか。VG32は油圧作動油やタービン油の粘度を表すISO規格で、正しく理解しないまま油を選ぶと、摩耗やシール劣化といったトラブルにつながることもあります。本記事では、出光テクニカルマスター資格を持つ専門チームが、VG32の意味から選び方までを分かりやすく解説します。

※本記事はオイル(油圧作動油・タービン油)としての「VG32」を解説するものです。ゲーミングモニター等の製品名としての「VG32」ではありませんのでご注意ください。

VG32とは|ISO粘度グレードの基礎知識

ISO VGの意味と40℃動粘度による分類

「ISO VG」とは、国際標準化機構(ISO)が定めた潤滑油の粘度(粘り気の強さ)を表す等級です。VGはViscosity Grade(粘度グレード)の略で、数字が大きいほど粘度が高く、粘り気の強い油であることを示します。粘度は油にとって最も重要な特性のひとつで、高すぎると動作抵抗が増えてエネルギーロスが生まれ、低すぎると油膜が切れて潤滑不良を起こすため、機器に合った粘度を選ぶことが欠かせません。

粘度のイメージ|サラサラ ⇔ トロトロ

低粘度(サラサラ)
抵抗が小さい/速く回る機械向き
VG32はこのあたり 高粘度(トロトロ)
油膜が強い/強い力がかかる機械向き

VG32は「40℃で28.8〜35.2mm²/s」の粘度帯

VG32は、40℃における動粘度(油の粘り気を示す数値)が28.8〜35.2mm²/s(旧単位のセンチストークス表記ではcSt)の範囲に収まる油を指します。ISO VGには10・22・32・46・68・100など複数のグレードがあり、VG32はその中でも比較的低粘度に位置づけられます。低粘度のため始動時の抵抗が小さく、高速で動く機器や低温環境での使用に向いているという理由で、幅広い設備に採用されています。

ISO粘度
グレード
動粘度(40℃)
代表値 mm²/s
粘度範囲
最小〜最大
相当SAE
エンジン油
相当SAE
ギヤ油
VG22 22 19.8〜24.2 5w
VG32 32 28.8〜35.2 10w 75w
VG46 46 41.4〜50.6 15w
VG68 68 61.2〜74.8 W 80w
VG100 100 90.0〜110 10w-30, 40 85w
VG150 150 135〜165 20w-40, 50 80w-90

※ISO粘度グレード一覧(抜粋)。40℃における動粘度(mm²/s)で分類。centistoke(cSt)は旧単位で数値は同一。

旧通称名「90タービン」との関係

VG32は、古くから使われてきた通称名「90タービン」に相当する粘度帯としても知られています。現在はJIS・ISO粘度グレードによる表記が主流ですが、メーカーのカタログや古い設備の仕様書では旧通称名が残っていることもあるため、両方の呼び方を知っておくと選定時に迷いません。

VG32オイルの主な用途

油圧作動油としての用途(ジャッキ・工作機械・建設機械)

VG32が最も広く使われているのが油圧作動油としての用途です。ガレージジャッキ、テーブルリフト、油圧プレス、工作機械、建設機械など、低圧から高圧まで幅広い油圧機械に対応します。低粘度で応答性が良いという理由から、素早い動作が求められる機器や、油温が上がりにくい環境での使用に適しています。

タービン油・軸受の潤滑油としての用途

VG32は油圧作動油だけでなく、高速・小型タービンや高速回転軸受の潤滑油としても使用されます。回転速度が速い機器ほど低粘度の油が求められる傾向があり、VG32は油圧装置とタービン設備の両方に対応できる汎用性の高い粘度帯として位置づけられています。

作動油と潤滑油の関係(作動油は潤滑油の一種)

「作動油」と「潤滑油」は別のものと誤解されがちですが、分類上は作動油も工業用潤滑油という大きなカテゴリの中の一種です。作動油は油圧で力を伝えることが主目的ですが、油圧ポンプ内部の潤滑も同時に担っているため、両方の性能が求められます。VG32を検討する際は、この包含関係を理解しておくと用途の判断がしやすくなります。

VG32と他の粘度グレードの違い・選び方

VG32とVG46の違い(低温・高速システムへの適性)

項目 VG32 VG46
粘度 低い やや高い
向いている環境 低温・高速・軽量システム 高負荷・高油温環境
始動性 良好 やや劣る場合あり

VG32とVG46を比較すると、VG32のほうが粘度が低く、低温環境や高速・軽量システムでの使用に適しています。一方VG46は粘度が高く、高負荷や高油温の環境で油膜切れを起こしにくいという特長があります。設備メーカーが両方の粘度を指定範囲としている場合、稼働環境(季節・負荷・油温)に応じて使い分けることが推奨されます。

粘度(VG)と粘度指数(VI)の違い

VG(粘度グレード)とVI(粘度指数)は混同されやすいですが、まったく別の概念です。VGはある温度(40℃)における粘度そのものの強さを表すのに対し、VIは温度変化に対して粘度がどれだけ安定しているか(温度が上下しても粘り気が変わりにくいか)を示す指標です。VIが高いオイルほど、寒暖差の大きい環境でも安定した性能を発揮します。

粘度と温度の関係

温度が高くなると サラサラに(粘度が低くなる)
温度が低くなると トロトロに(粘度が高くなる)

この温度による粘度変化の度合いを示すのが

粘度指数(VI)

温度による粘度変化が大きい → 粘度指数が低い
温度による粘度変化が小さい → 粘度指数が高い

寒冷地・季節による粘度選定の注意点

VG32はVG46などと比べて元々低粘度のため、低温環境に強い部類のオイルです。ただし「低粘度グレードだから寒冷地でも無条件に安心」というわけではありません。粘度指数(VI)が低い油はVG32であっても気温の低下とともに粘度が大きく上昇し、真冬の北海道のような環境では流動点(油が流動性を失う温度)に近づいて始動性が悪化することがあります。VG32を選ぶ際は、粘度グレードの数字だけでなく、粘度指数や流動点もあわせてカタログで確認すると、季節をまたいだ安定稼働につながります。北海道での低温始動性の検証については、当社YouTubeチャンネルの動画もご参考ください。

【商品紹介】VG32相当のおすすめ油圧作動油

出光 スーパーハイドロA 32(Znフリーでタンク汚れが少ない汎用品)

出光 スーパーハイドロA 32

出光の「スーパーハイドロA 32」は、スラッジを生成させるZn(亜鉛)を使用していないため、他社の一般的な油圧作動油と比べてタンクの汚れが少なく、オイル交換の延長が期待できる汎用油圧作動油です。油種選定に迷った際にまず試していただきたい標準品として位置づけられています。より省燃費性能を求める場合は「スーパーハイドロST」などの上位グレードも選択肢になります。

油圧タンクの中(オイル交換時に油を抜いた後の写真)/左:Zn系作動油、右:非Zn系作動油

▶ スーパーハイドロA 32 商品ページを見る

エネオス スーパーハイランド 32(低圧〜高圧まで幅広く対応)

エネオス スーパーハイランド 32

エネオスの「スーパーハイランド 32」は、鍛圧機械・金属加工機械・射出成形機・建設機械・荷役機械など、低圧から高圧まで各種油圧機械に幅広く使用できる汎用油圧作動油です。こちらも「油種選定に迷ったらまず試す」位置づけの標準品で、出光製品とあわせて2つの選択肢として比較検討いただけます。

▶ スーパーハイランド 32 商品ページを見る

多目的用途なら|出光 メカニックオイル 32(軸受・歯車・油圧兼用)

出光 メカニックオイル 32

油圧作動油としてだけでなく、軸受や歯車の潤滑にも同じ油を使いたい場合は、出光の「メカニックオイル 32」が選択肢になります。耐荷重性・耐熱性・水分離性が同時に求められる場面に対応する工業用多目的潤滑油で、無段変速機用潤滑油としても各機械メーカーから推薦されています。油種を統一して管理の手間を減らしたい現場におすすめです。

▶ メカニックオイル 32 商品ページを見る

なお、上記商品は現在一時的に品切れとなっておりますが、再入荷次第ご案内いたします。当社は創業60年以上、全国3,000箇所以上の取引先に正規品・メーカー直接配送でお届けしており、類似品や転売品ではない確かな品質をお約束しています。

出光・エネオスの油圧作動油をネットで簡単発注!

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VG32オイルの選び方と交換時の注意点

メーカー推奨粘度の確認方法

VG32を含む粘度グレードの選定は、必ず機械メーカーの取扱説明書や仕様書に記載された推奨粘度を最優先で確認してください。旧通称名やSAE表記など、複数の呼び方が併記されている場合もあるため、不明な点があれば型式や用途を確認のうえメーカーまたは専門商社に相談することをおすすめします。

粘度不適合が引き起こすトラブル(摩耗・シール劣化)

指定と異なる粘度のオイルを使用すると、粘度が高すぎる場合は動作抵抗の増加やエネルギーロス、始動直後の動きの重さにつながります。逆に粘度が低すぎる場合は油膜切れによる摩耗の増大や、内部でのオイル漏れによる出力低下を招くことがあります。特に長期間使用を続けると、シール材(ゴムパッキンなど)の劣化を早める要因にもなるため、粘度の見た目上の近さだけで判断せず、規格に基づいた正確な選定が重要です。

VG32に関するよくある質問

Q. VG32とVG46、どちらを選べばいいですか?

A. まずは機械メーカーの指定粘度を確認してください。指定に幅がある場合、標準的な油温環境ではVG32、高負荷・高油温の環境ではVG46が選ばれる傾向にあります。

Q. VG32のオイルは他の粘度グレードと混ぜても大丈夫ですか?

A. 原則として異なる粘度・種類のオイルの混合は避けてください。添加剤の組み合わせによってはスラッジが発生し、性能低下につながる可能性があります。

Q. 自分の機械にVG32が合っているか分からない場合はどうすればいいですか?

A. 取扱説明書に記載の推奨粘度をまず確認し、不明な場合はメーカーまたは専門商社にご相談ください。当社でも無料相談を承っております。

Q. VG32の作動油はジャッキ以外にも使えますか?

A. はい。ジャッキのような小型油圧機器だけでなく、工作機械や建設機械の油圧システム、高速回転軸受など幅広い設備に使用されています。

Q. 寒冷地でもVG32のオイルは問題なく使えますか?

A. VG32は比較的低粘度で低温環境でも固まりにくい特長がありますが、厳しい寒冷地では流動点の確認も併せて行うと安心です。

まとめ|VG32は油圧作動油の粘度規格。適合オイルの選定が重要

VG32は、ISO規格が定める粘度グレードのひとつで、40℃における動粘度が28.8〜35.2mm²/s(cSt)の油を指します。油圧作動油や高速回転軸受・タービンの潤滑油として幅広く使用されており、VG46など他の粘度グレードとの違いを理解したうえで、機械メーカーの推奨粘度に沿って選定することが、故障やトラブルを防ぐ最も確実な方法です。粘度選定に迷った際は、専門商社への相談も選択肢のひとつとしてご活用ください。

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