2026.10.01
コンプレッサーオイルの選び方|オイルフリー式との違い・交換時期を解説

この記事を書いた人
札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課
出光テクニカルマスター潤滑油1級 / 2級機械保全技能士
油圧作動油・工業用ギヤ油・グリースなど幅広い潤滑剤の性能・使用・管理方法に精通した専門チーム。省エネ油の導入シミュレーションを通じ、企業の経費削減・カーボンニュートラル推進もサポート。
目次
工場や整備工場でコンプレッサーの交換時期を迎え、「純正品を使うべきか、代替品でも問題ないのか」と迷っている保全担当者の方も多いのではないでしょうか。
コンプレッサーオイルは、機種や粘度、基油の違いによって適合するものが変わるため、安価な一般オイルで安易に代用すると、高温停止やスラッジの発生、異常摩耗といったトラブルにつながるおそれがあります。
コンプレッサーオイルは、レシプロ式かスクリュー式かといった機種の違い、鉱物油・合成油・半合成油といった基油の違い、粘度や使用環境によって求められる性能が異なるため、銘板や取扱説明書を起点に選ぶことが基本です。
この記事では、コンプレッサーオイルの役割と種類、選び方のポイント、代用時の注意点、交換時期と交換方法までを解説します。工場や整備工場で保全業務を担当し、純正品または代替品の選定に迷っている方はぜひ最後までご覧ください。
コンプレッサーオイルとは
コンプレッサーオイルは、圧縮機を安定して運転するための複数の役割を担います。
潤滑・冷却・密封などの役割
コンプレッサーオイルは、圧縮機内部の可動部の潤滑に加えて、圧縮によって発生する熱を逃がす冷却、気体の漏れを防ぐ密封、内部の汚れを洗い流す洗浄、金属のサビを防ぐ防錆といった複数の役割を担っています。
潤滑
圧縮機内部の可動部の摩擦を抑える
冷却
圧縮によって発生する熱を逃がす
密封
気体の漏れを防ぐ
洗浄
内部の汚れを洗い流す
防錆
金属のサビを防ぐ
特に圧縮機は高温・高圧の環境で連続運転されることが多いため、これらの性能を安定して発揮できるオイルを選ぶことが、機器の寿命や運転効率に直結します。
オイル式とオイルフリー式の違い
コンプレッサーには、圧縮部の潤滑にオイルを使用する「オイル式」と、オイルを使用しない「オイルフリー式」があります。オイルフリー式は食品・医薬品工場など油分混入を避けたい用途で採用されますが、多くの汎用コンプレッサーはオイル式であり、指定された種類のコンプレッサーオイルによる定期的な補給・交換が必要です。
| 項目 | オイル式 | オイルフリー式 |
|---|---|---|
| 圧縮部の潤滑 | オイルを使用する | オイルを使用しない |
| 主な採用例 | 多くの汎用コンプレッサー | 食品・医薬品工場など油分混入を避けたい用途 |
| オイル管理 | 指定オイルの定期的な補給・交換が必要 | — |
コンプレッサーオイルの主な種類
圧縮方式と基油の違いによって、求められるオイル性能も変わります。
レシプロコンプレッサー用オイル
ピストンの往復運動で空気を圧縮するレシプロ式には、専用に設計されたレシプロコンプレッサー用オイルを使用します。高温になりやすいシリンダー部での酸化安定性や、カーボン(炭化物)の生成を抑える性能が求められます。
スクリューコンプレッサー用オイル
スクリュー式は、かみ合う2つのローターで空気を圧縮する方式で、オイルが圧縮室内を循環しながら潤滑・冷却・密封を担います。長時間の連続運転を前提とするため、酸化安定性やスラッジの生成しにくさ、長寿命であることが重視されます。
圧縮方式によるオイルの違い
| 圧縮方式 | 圧縮の仕組み | オイルに求められる性能 |
|---|---|---|
| レシプロ式 | ピストンの往復運動で空気を圧縮 | シリンダー部での酸化安定性、カーボン(炭化物)の生成抑制 |
| スクリュー式 | かみ合う2つのローターで空気を圧縮 | 酸化安定性、スラッジの生成しにくさ、長寿命 |
鉱物油・合成油・半合成油の違い
コンプレッサーオイルの基油には、鉱物油、合成油、半合成油(鉱物油と合成油を混合したもの)があります。鉱物油は価格を抑えやすい一方、合成油は温度変化による粘度の変化が少なく、酸化安定性や寿命の面で優れる傾向があります。
合成油は摩擦抵抗を抑えやすい設計のものもあり、運転条件によっては消費電力の低減につながる場合もあるため、コストだけでなく運転条件やライフサイクルコストも踏まえて基油を選ぶことが望まれます。
| 基油 | 特徴 |
|---|---|
| 鉱物油 | 価格を抑えやすい |
| 合成油 | 温度変化による粘度の変化が少なく、酸化安定性や寿命の面で優れる傾向。運転条件によっては消費電力の低減につながる場合もある |
| 半合成油 | 鉱物油と合成油を混合したもの |
コンプレッサーオイルの選び方
コンプレッサーオイルを選定する際は、まず圧縮方式を確認し、そのうえで機種の指定、粘度・基油・使用環境を確認します。
コンプレッサーオイル選定の手順
圧縮方式(レシプロ式・スクリュー式)を確認する
銘板や取扱説明書で、レシプロ式かスクリュー式かを確認します。
メーカー・機種の指定オイルを確認する
銘板や取扱説明書で、指定オイル(または適合する規格・粘度)を確認します。
ISO VGなどの粘度と基油を確認する
指定されたISO VG番号と基油の種類を確認します。
運転温度・負荷・連続運転時間・使用環境を確認する
設置環境や運転条件に合う粘度・基油かを確認します。
食品工場では食品機械用の規格を確認する
製品に接触する可能性がある環境では、NSF H1などへの適合を確認します。
まずは圧縮方式(レシプロ式・スクリュー式)を確認する
コンプレッサーオイル選びで最初に確認すべきなのが、使用しているコンプレッサーがレシプロ式かスクリュー式かという点です。レシプロ式用とスクリュー式用のオイルは求められる性能が異なるため、方式に合わないオイルを使うと潤滑不良や劣化の促進を招くおそれがあります。特にレシプロ式では、カーボン(炭化物)が堆積すると発火や爆発のリスクが高まることも指摘されており、オイルの選び間違いが重大な事故につながりかねません。圧縮方式は本体の銘板や取扱説明書で確認し、方式に対応した専用オイルを選んでください。
方式に合わないオイルは使わない
レシプロ式用とスクリュー式用のオイルは求められる性能が異なります。方式を取り違えると、重大な事故につながりかねません。
メーカー・機種の指定オイルを確認する
コンプレッサーオイルを選ぶ際は、まず本体の銘板や取扱説明書に記載されたメーカー指定のオイル(または適合する規格・粘度)を確認します。
メーカーによっては、規格・粘度が適合すれば純正品以外のオイルの使用を認めている場合もありますが、保証条件は機種ごとに異なるため必ず個別に確認するようにしてください。
札幌アポロでは、純正品以外のオイルについてご相談いただいた際に、以下の項目を確認したうえで、適合するオイルをご案内しています。
ご相談時に確認する項目
ISO VGなどの粘度と基油を確認する
工業用潤滑油の粘度は、ISO VG(粘度グレード)で表されます。粘度が高すぎると攪拌抵抗によるエネルギーロスや始動不良の原因になり、低すぎると油膜切れによる潤滑不良の原因になるため、指定されたISO VG番号と基油の種類を確認したうえで選定しましょう。
| 粘度 | 起こりうるトラブル |
|---|---|
| 高すぎる場合 | 攪拌抵抗によるエネルギーロス、始動不良 |
| 低すぎる場合 | 油膜切れによる潤滑不良 |
運転温度・負荷・連続運転時間・使用環境から選ぶ
同じ機種でも、設置環境の気温や湿度、連続運転時間、負荷の大きさによって、適したオイルの粘度や基油が変わることがあります。特に連続運転時間が長い設備や、高温多湿の環境で使用する設備では、酸化安定性の高いオイルを選ぶことでメンテナンス頻度を抑えやすくなるでしょう。
食品工場では食品機械用の規格を確認する
食品工場など、コンプレッサーオイルが製品に接触する可能性がある環境では、NSF H1などの食品機械用潤滑油の規格に適合したオイルを使用する必要があります。一般工業用のコンプレッサーオイルをそのまま使用することはできないため、設置環境に応じて規格を確認してください。
コンプレッサーオイルをネットで簡単発注!
札幌アポロ(BASE OIL)では、スクリュー式・レシプロ式のコンプレッサー用オイルを取り扱っています。
機種の指定、粘度、基油、使用環境に合う製品を商品一覧からご確認ください。
コンプレッサーオイル代用時の注意点
コンプレッサーオイルの代わりに油圧作動油やギヤ油など他用途のオイルを代用すると、コンプレッサー特有の高温環境での酸化安定性やカーボン生成の抑制性能が不足し、故障の原因になることがあります。また、レシプロ式用とスクリュー式用のオイルを取り違えて使用することも避けてください。
また、基油や添加剤の異なるオイルを混ぜて使用すると、添加剤どうしが干渉し、本来の性能が発揮できなくなってしまいます。種類の異なるオイルへ切り替える場合は、既存のオイルを全量抜き取ってから交換するようにしてください。
コンプレッサーオイルの交換時期
交換時期は、メーカー指定の運転時間を基準に、使用環境やオイルの状態も踏まえて判断します。
メーカー指定の運転時間と使用環境を確認する
コンプレッサーオイルは、メーカーが指定する運転時間(使用時間)を目安に交換します。連続運転や高負荷運転が多い設備、粉じんや高温多湿など厳しい環境で使用している設備では、指定された目安よりも早めの点検・交換が必要になる場合があります。
色・白濁・スラッジ・異臭などの劣化サインを確認する
運転時間だけでなく、オイルの色の変化、水分混入による白濁、スラッジ(汚泥状の劣化物)の発生、異臭といった劣化のサインも確認します。これらのサインが見られる場合は、指定の交換時期に達していなくても早めの交換を検討してください。
劣化サインのチェックリスト
- ☑ オイルの色が変化している
- ☑ 水分混入による白濁が見られる
- ☑ スラッジ(汚泥状の劣化物)が発生している
- ☑ 異臭がする
なお、札幌アポロでは、劣化のサインが見られてオイルを交換した場合、次回の交換はメーカーの目安時間よりも短めに行うようご案内しています。交換時に古いオイルを完全に抜ききることは難しく、すべて新しいオイルに入れ替えた状態よりも劣化が早く進むためです。
コンプレッサーオイルの交換方法
コンプレッサーオイルを交換する際、作業時は機種ごとの手順を守り、圧力や温度が安全な状態であることを確認しましょう。
コンプレッサーオイル交換の流れ
交換前の準備と安全確認
指定オイル・廃油受け皿・工具を準備し、電源を切って内部の圧力を完全に抜きます。
古いオイルを抜いて指定量を入れる
ドレンから抜き取り、規定量まで注油します。指定があればオイルフィルターも交換します。
交換後に油量・漏れ・運転状態を確認する
油面計・油漏れを点検し、試運転で異音・振動・油温・油圧を確認します。
交換前の準備と安全上の注意
交換前には、指定オイル、廃油受け皿、工具を準備し、本体の電源を切って内部の圧力を完全に抜いてから作業します。稼働直後は内部が高温・高圧になっているため、取扱説明書に従って安全な状態になってから作業を開始してください。
古いオイルを抜いて指定量を入れる
ドレンから古いオイルを抜き取り、内部を確認したうえで、規定量まで新しいオイルを注油します。オイルフィルターの交換が指定されている機種では、あわせて交換してください。
交換後に油量・漏れ・運転状態を確認する
交換後は、油面計などで規定量に達しているかを確認し、配管の継ぎ目やドレンからの油漏れがないかを点検します。試運転を行い、異音や振動、油温・油圧の異常がないかも確認したうえで通常運転に戻してください。
まとめ
まずレシプロ式かスクリュー式かという圧縮方式を確認することが最も重要です。そのうえで、鉱物油・合成油・半合成油といった基油の違いによって適したオイルが異なり、銘板や取扱説明書で指定されたオイル・粘度・規格を確認したうえで選ぶことが大切です。
食品工場ではNSF H1などの食品機械用規格への適合も必要になります。運転時間だけでなく色や臭いなどの劣化サインもあわせて確認し、指定された方法で交換することで、突発的な設備停止のリスクを抑えやすくなるでしょう。
コンプレッサーを含む工業設備の潤滑油選びや、グリースとの使い分けを確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。
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条件に合うコンプレッサーオイルを探す
コンプレッサーオイルは、機種の指定、粘度、基油、使用環境を確認して選ぶことが重要です。
札幌アポロではコンプレッサー用オイルを取り扱っていますので、まずは商品一覧から条件に合う製品をご確認ください。
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