2026.10.13

コンバインオイルの種類と選び方|使用箇所と交換時期を解説


札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

この記事を書いた人

札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

出光テクニカルマスター潤滑油1級 / 2級機械保全技能士

油圧作動油・工業用ギヤ油・グリースなど幅広い潤滑剤の性能・使用・管理方法に精通した専門チーム。省エネ油の導入シミュレーションを通じ、企業の経費削減・カーボンニュートラル推進もサポート。

収穫期が近づくと、コンバインの点検・整備を控えている農家や農業法人の担当者の方も多いのではないでしょうか。コンバインには複数の潤滑油が使われており、「エンジンオイルとチェーン用オイルを同じものだと思っていた」「どの部分にどのオイルを使えばよいかわからない」という声もよく聞かれます。

コンバインのオイルは、使われる箇所によって求められる性能が異なります。エンジン部分には規格や粘度が定められたエンジンオイルが、刈刃やチェーンなどの集中注油部分にはメーカーが指定する専用オイルが必要になります。

この記事では、コンバインで使用される主なオイルの種類と使用箇所、エンジンオイル・チェーン用オイルそれぞれの選び方、交換・給油の時期と注意点を整理して解説します。

コンバインに使うオイルは使用箇所によって異なる

コンバインは、エンジン、刈刃、チェーン、変速機など複数の機構で構成されており、部位ごとに求められる潤滑性能が異なります。そのため「コンバインオイル」とひとくくりにできるオイルは存在せず、使用箇所に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。

まずは取扱説明書を確認し、どの箇所にどの種類のオイルが指定されているかを把握することが大切です。

ここでは、コンバインで使用される主なオイルと、それぞれの役割を確認します。

コンバインで使用する主なオイル一覧

コンバインで一般的に使用される主なオイルは、次のとおりです。

コンバインで使用する主なオイル

オイルの種類 役割・使用箇所
エンジンオイル エンジン内部の潤滑・冷却・防錆・密封・洗浄を担う。ディーゼルエンジン用の規格に適合したものを使用する
刈刃・チェーン用オイル 刈刃の摺動部やチェーンの集中注油装置に使用する専用オイル
ミッションオイル
(トランスミッションオイル)
変速機部分に使用する。エンジンオイルとは求められる性能が異なる
油圧作動油 油圧で作動する装置(刈取部の昇降など)に使用する

いずれも取扱説明書に指定規格や粘度グレードが明記されているため、使用箇所ごとに確認したうえで選定します。

コンバインのエンジンオイルの選び方

コンバインのエンジンは多くがディーゼルエンジンです。エンジンオイルには、金属摩耗を減らす潤滑作用のほか、熱を逃がす冷却作用、内部の水分・酸から金属を守る防錆作用、ピストンとシリンダーのすき間を密封する作用、すすや汚れを洗い流す洗浄作用の5つの役割があります。

潤滑作用

金属摩耗を減らす

冷却作用

熱を逃がす

防錆作用

内部の水分・酸から金属を守る

密封作用

ピストンとシリンダーのすき間を密封する

洗浄作用

すすや汚れを洗い流す

これらの性能を安定して発揮させるには、規格・粘度が適合したオイルを選ぶことが前提になります。

規格・粘度は取扱説明書と型式を確認する

エンジンオイルの規格には、API規格(米国)やJASO規格(日本)などがあります。ディーゼルエンジン用では、API規格はCF・CF-4、JASO規格はDH-1などの区分があり、機種や年式によって指定される規格が異なります。

粘度についても、SAE粘度グレード(10W-30など)がメーカーごとに指定されているため、自己判断で規格や粘度の異なるオイルに置き換えることは避け、必ず取扱説明書に記載された型式・推奨油を確認してください。

社内で複数のコンバインや農業機械を保有している場合は、指定油の範囲内で使用するオイルの種類をできるだけ統一しておくと、発注や在庫管理の手間が減り、誤給油の防止にもつながります。

関連記事2026.05.08

潤滑油とは?潤滑油の用途、種類、特徴を徹底解説

潤滑油の仕組みと成分、6つの役割、オイルとグリースの違いを基礎から整理した記事です。

記事を読む ›

DPF搭載機は指定規格に注意する

近年の排出ガス規制に対応した機種では、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を搭載しているコンバインもあります。DPFは排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集し、熱で燃焼させて除去する装置です。PMには、すす・未燃燃料に加えて、オイルに含まれる金属系添加剤に由来する「灰分」が含まれます。灰分は燃焼しきれずDPF内に残るため、灰分の少ないDPF対応オイル(API規格ではCJ-4・CK-4、JASO規格ではDH-2など)を使用しないと、DPFの目詰まりが早まる可能性があります。

DPF搭載機の注意点

DPF搭載機を使用している場合は、取扱説明書でDPF対応規格が指定されているかを必ず確認し、指定外のオイルへの安易な置き換えは避けてください。

刈刃・チェーン用オイルの選び方

刈刃やチェーンなど、機体各部の集中注油に使用するオイルは、エンジンオイルとは求められる性能が異なります。摺動部の摩耗防止や、こぼれ・飛散を抑える性質などが重視されるため、専用に設計されたオイルを使用することが基本です。

集中注油にはメーカー指定のオイルを使う

コンバインの刈刃やチェーンには、集中注油装置によって一定量のオイルが自動供給される機種が多くあります。集中注油系統は装置内部の粘度特性を前提に設計されているため、メーカーが指定する専用オイル、または指定粘度・性状に適合したオイルを使用してください。

廃油や高粘度のオイルを使用しない

「余っているエンジンオイルの廃油を流用する」「手元にある高粘度のオイルで代用する」といった使い方は、汚染物質の混入や給油系統の目詰まり、摺動部の潤滑不良につながるおそれがあるため避けてください。特に高粘度のオイルは、寒冷地での始動時や低温環境下で流動性が不足し、給油不良を起こす場合があります。

農業用機械オイルの商品一覧

コンバインのオイルは使用箇所ごとに必要な種類・規格が異なります。

取扱説明書で確認した指定内容をもとに、用途に合うオイルをご確認ください。

コンバインのオイルを交換・給油する時期と注意点

コンバインは収穫期に集中して稼働し、それ以外の期間は保管されることが多い機械です。稼働時間だけでなく、保管前後のタイミングも交換・点検の重要な節目になります。

収穫期前と保管前に点検・交換する

収穫期の直前は、稼働に備えてオイルの量・汚れ・粘度の状態を点検し、必要に応じて交換しておく時期です。逆に収穫作業を終えて長期保管に入る前も、劣化したオイルを入れたまま放置すると内部の腐食やサビにつながるおそれがあるため、状態を確認したうえで交換しておくと、翌シーズンの立ち上がりがスムーズになります。

A札幌アポロの現場から

札幌アポロでは、道内のお客様が冬越し保管に入る前の作業として、エンジンオイルの交換、ミッション・油圧系の点検、防錆処理の3点をおすすめしています。収穫作業を終えたタイミングでまとめて実施しておくと、保管中の劣化やサビを防ぎ、翌シーズンを安心して迎えやすくなります。

冬越し保管前におすすめの3つの作業

✓エンジンオイルの交換
✓ミッション・油圧系の点検
✓防錆処理

使用時間とオイルの状態を確認する

エンジンオイルは、使用しているうちに汚れ(すすや異物の混入)、劣化(酸化による性状変化)、添加剤の消耗が進みます。これらが進行すると、摩耗の促進や腐食、フィルターの目詰まり、焼き付きなどのトラブルにつながるため、取扱説明書に定められた使用時間を目安に、色や粘度、におい(異臭)などの状態も確認しながら交換の要否を判断します。

交換の要否を判断する確認項目

☑取扱説明書に定められた使用時間
☑オイルの色
☑粘度
☑におい(異臭)

稼働時間が短いシーズンであっても、保管期間が長くなる場合は、次シーズンの使用前にオイルの状態を確認しておくと安心です。

異なる種類のオイルを混ぜない

規格や粘度、添加剤の異なるオイルを混ぜて使用すると、添加剤どうしが干渉し、本来の性能が発揮できなくなることがあります。継ぎ足しで給油する場合も、原則として同一銘柄・同一規格のオイルを使用し、種類が異なる場合は全量を交換してください。

交換後は油量と油漏れを確認する

オイル交換後は、規定量まで給油できているかをオイルレベルゲージ等で確認します。油量が少ないと潤滑・冷却が不足してオイルの傷みが早まり、逆に多すぎると攪拌抵抗によるエネルギーロスにつながるため、適正レベルを保つことが重要です。

あわせて、交換箇所や配管の継ぎ目からの油漏れがないかも点検してください。わずかな油漏れでも、放置すると年間を通じて相応の油量ロスとコスト増につながりかねません。

まとめ

コンバインに使うオイルは、エンジン・刈刃やチェーン・ミッション・油圧といった使用箇所ごとに求められる性能が異なり、それぞれ取扱説明書で指定された規格・粘度のオイルを選ぶことが大切です。

特にエンジンオイルは、機種の年式やDPF搭載の有無によって指定規格が変わるため、自己判断での代用は避けてください。収穫期前・保管前の点検を習慣にし、オイルの状態を確認しながら適切なタイミングで交換することで、収穫期の突発的なトラブルを防ぎやすくなります。

コンバインのオイル管理 確認ポイント

☑使用箇所ごとに、取扱説明書で指定された規格・粘度を確認する
☑エンジンオイルは年式やDPF搭載の有無を確認し、自己判断で代用しない
☑収穫期前・保管前に点検する
☑オイルの状態を確認しながら、適切なタイミングで交換する

コンバインに使用するエンジンオイルや油圧作動油について、規格・選び方をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事

2026.05.15

【業務用】ディーゼルエンジンオイルの選び方|JASO・API規格から車両別適合品まで徹底解説

JASO・API規格の違いやDPF対応、寒冷地での粘度選定、交換時期まで業務用途に絞って解説しています。

記事を読む ›

2026.05.12

油圧作動油(油圧オイル)とは?交換時期、種類、選び方も解説

油圧作動油の役割と種類、ISO VGによる粘度の選び方、交換時期と劣化の見分け方をまとめています。

記事を読む ›

コンバインに合うオイルを商品一覧から

コンバインのオイルは使用箇所ごとに必要な種類・規格が異なります。

取扱説明書で確認した指定内容をもとに、札幌アポロの商品一覧から用途に合うオイルをご確認ください。

BASE OIL 会員登録のご案内

会員登録の2つのメリット

MERIT 01

全商品5%オフ

すべての商品を会員価格でご購入いただけます

MERIT 02

入荷情報をいち早くお知らせ

欠品中の商品も、入荷のタイミングを逃しません

▶ 会員登録はこちら(無料)

型式や使用箇所、指定規格から選びたい場合は、ぜひ札幌アポロへご相談ください。

札幌アポロへ相談する