2026.10.19

食品機械用潤滑油とは?NSF H1規格と用途別の選び方を解説


札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

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札幌アポロ株式会社 産業エネルギー課

出光テクニカルマスター潤滑油1級 / 2級機械保全技能士

油圧作動油・工業用ギヤ油・グリースなど幅広い潤滑剤の性能・使用・管理方法に精通した専門チーム。省エネ油の導入シミュレーションを通じ、企業の経費削減・カーボンニュートラル推進もサポート。

食品工場で設備の保全や品質保証、購買を担当されている方の中には、「NSF H1という規格を監査で指摘されたが、意味がよくわからない」「使用箇所ごとにどんな種類の潤滑油が必要なのか判断できない」と感じている方もいるのではないでしょうか。

食品機械用潤滑油は、食品に接触する可能性の有無によって求められる規格が異なるうえ、軸受・チェーン・ギヤ・油圧装置といった使用箇所によっても適したタイプが変わります。規格の意味を理解し、設備の潤滑箇所と結び付けて選定することが欠かせません。

この記事では、食品機械用潤滑油の基本的な考え方、NSFによる規格区分、使用箇所別の種類、選び方と切り替え時の注意点を解説します。監査対応や設備更新、一般オイルからの切り替えを検討している食品工場の保全・品質保証・購買担当者の方に向けた内容です。

食品機械用潤滑油とは

食品機械用潤滑油は、食品との接触可能性と機器に必要な潤滑性能の両面から選定します。

一般的な工業用潤滑油との違い

食品機械用潤滑油は、基本的な潤滑性能(潤滑・冷却・防錆など)は一般的な工業用潤滑油と同様ですが、原材料に食品衛生上の安全性が確認された成分のみを使用している点が異なります。一般的な工業用潤滑油には、食品への混入を想定していない成分が含まれる場合があるため、食品と接触する可能性のある箇所には使用できません。

項目 食品機械用潤滑油 一般的な工業用潤滑油
基本的な潤滑性能 潤滑・冷却・防錆など 潤滑・冷却・防錆など
原材料 食品衛生上の安全性が確認された成分のみ 食品への混入を想定していない成分が含まれる場合がある
食品と接触する可能性のある箇所 規格に応じて使用できる 使用できない

食品工場で使用される理由

食品機械用潤滑油は、万が一潤滑油が食品に混入した場合でも健康リスクを抑えられるよう設計されています。HACCPなどの食品安全マネジメントに取り組む工場では、潤滑油の管理も重要な確認項目の一つとなっており、設備の潤滑箇所に応じて適切な規格の潤滑油を使用していることが、監査対応の面でも求められます。

食品機械用潤滑油のNSF規格

食品機械用潤滑油の規格は、米国のNSFインターナショナルが定める区分に基づいて評価されています。

NSF規格の主な区分

区分 対象・使用箇所
NSF H1 食品に接触するべきではないものの、偶発的にごく微量が混入しても安全なように設計された潤滑油
NSF H2 食品と接触する可能性がまったくない箇所に使用する潤滑油
NSF 3H 食品に直接触れる硬い表面(グリルや調理器具など)に使用する離型剤
NSF HT1 加熱装置などで使用される熱媒体油のうち、食品への偶発的な接触を想定したもの

NSF H1|偶発的接触に対応する規格と注意点

NSF H1は、食品に接触するべきではないものの、偶発的にごく微量が混入しても安全なように設計された潤滑油の規格です。軸受やチェーンなど、食品ラインの近くで使用される潤滑箇所の多くは、このH1規格への適合が前提になります。H1規格に適合していても、食品への意図的な接触を前提とした用途には使用できない点に注意してください。

NSF H2|食品と接触しない箇所に使用する規格

NSF H2は、食品と接触する可能性がまったくない箇所に使用する潤滑油の規格です。工場内でも食品ラインから離れた場所にある機械であれば、H2規格の一般的な潤滑油を使用できる場合があります。ただし、レイアウト変更などで食品ラインに近接する可能性がある箇所には、H1規格への切り替えを検討する必要があります。

NSF 3H・HT1との違い

NSF 3Hは、食品が付着するのを防ぐために、食品に直接触れる硬い表面(グリルや調理器具など)に使用する離型剤の規格です。NSF HT1は、加熱装置などで使用される熱媒体油のうち、食品への偶発的な接触を想定した規格です。いずれもH1とは用途が異なるため、設備の用途に応じて必要な規格を確認してください。

食品機械用潤滑油の種類と使用箇所

使用箇所によって必要な形状や性能が異なるため、設備に合った製品を選ぶことが重要です。

使用箇所別の種類

種類 主な使用箇所 選定のポイント
グリース 軸受など 密封性・耐水性、異物混入時の目視確認のしやすさ
チェーンオイル・スプレー コンベアチェーンなど 水や蒸気にさらされても潤滑性能を維持できるか
潤滑油(液状オイル) ギヤ・油圧装置・コンプレッサーなど 粘度グレードや運転条件に加え、NSF規格への適合

グリース|軸受などに使用する

グリースは、ベースオイルと増ちょう剤(リチウム石けんなど)からなる半固体状の潤滑剤で、軸受など密封性や耐水性が求められる箇所に使用されます。食品機械用グリースにも、NSF H1に適合した製品があり、耐水性や異物混入時の目視確認のしやすさなど、一般工業用グリースと同様の観点で選定します。

チェーンオイル・スプレー|チェーンなどに使用する

コンベアチェーンなどには、チェーン用の食品機械用オイルやスプレータイプの潤滑剤が使用されます。洗浄工程が多い食品ラインでは、水や蒸気にさらされても潤滑性能を維持できるかどうかも選定のポイントになります。

潤滑油|ギヤ・油圧装置・コンプレッサーなどに使用する

ギヤ、油圧装置、コンプレッサーなどには、それぞれの機器に適合した食品機械用潤滑油(液状オイル)を使用します。一般工業用と同様に、粘度グレードや運転条件に応じた選定に加えて、NSF規格への適合が必要になります。

NSF H1登録の食品機械用潤滑油をネットで発注

札幌アポロ(BASE OIL)では、軸受用グリース・油圧作動油・ギヤ油のNSF H1登録品を取り扱っています。

使用箇所に合う製品を以下からご確認ください。

食品機械用潤滑油の選び方

規格への適合に加えて、機器の指定や使用環境、切り替え時の管理まで確認しましょう。

機械メーカーの指定規格・粘度を確認する

食品機械用潤滑油を選ぶ際も、まず機械メーカーが指定する粘度グレードや規格を確認します。NSF規格への適合だけでなく、機器が求める潤滑性能を満たしているかどうかもあわせて確認してください。

温度・荷重・水・蒸気などの使用条件を確認する

食品工場では、洗浄工程での高温・高圧の水や蒸気にさらされる設備が多くあります。使用環境の温度、荷重、水分・蒸気への曝露頻度を踏まえて、耐水性や耐熱性に優れた製品を選定してください。

NSFへの登録状況と必要な認証・資料を確認する

購入・使用にあたっては、対象製品がNSFに登録されている製品であることを、製品ラベルやメーカーが発行する証明資料で確認します。監査対応のためにも、登録状況を示す資料は保管しておくと安心です。

食品機械用潤滑油の選定チェックリスト

  • ☑  使用箇所が食品と接触する可能性を確認し、必要なNSF区分(H1・H2など)を整理した
  • ☑  機械メーカーが指定する粘度グレード・規格を確認した
  • ☑  温度・荷重・水分や蒸気への曝露頻度を確認した
  • ☑  製品ラベルやメーカーの証明資料でNSF登録状況を確認し、資料を保管した

食品機械用潤滑油へ切り替える際の注意点

既存の潤滑油との適合性を確認して適切に入れ替える

一般的な工業用潤滑油から食品機械用潤滑油へ切り替える場合、基油や添加剤の異なる潤滑油が混ざったまま使用されると、性能が十分に発揮されないことがあります。切り替え時は、既存の潤滑油をできる限り除去したうえで新しい潤滑油に入れ替えてください。

食用油や一般的な工業用潤滑油で代用しない

「食用油だから安全だろう」といった理由での代用や、規格を確認しないままの一般工業用潤滑油の使用は避けてください。食用油は工業用途で求められる耐熱性・酸化安定性・潤滑性能を満たすように設計されていないため、機械の潤滑箇所には適していません。

使用箇所と使用商品を記録・管理する

どの設備のどの箇所にどの潤滑油を使用しているかを記録・管理しておくと、補給や交換の際の誤給油を防ぎやすくなり、監査対応の際にも説明がしやすくなります。

切り替え時の流れ

1

既存の潤滑油との適合性を確認する

基油や添加剤の異なる潤滑油が混ざらないよう確認します。

▼
2

既存の潤滑油を除去して入れ替える

既存の潤滑油をできる限り除去してから新しい潤滑油に入れ替えます。

▼
3

使用箇所と使用商品を記録・管理する

誤給油の防止と、監査時の説明に役立てます。

まとめ

食品機械用潤滑油は、食品への接触可能性に応じたNSF規格(H1・H2・3H・HT1など)への適合と、軸受・チェーン・ギヤ・油圧装置といった使用箇所に応じた種類選びの両方が必要です。切り替え時は、既存の潤滑油との入れ替えを適切に行い、使用箇所と製品を記録・管理しておくことで、監査対応や設備トラブルの防止につなげやすくなります。

一般工業用との違いや、設備の潤滑箇所に応じた油・グリースの使い分けを確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。

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使用箇所に合う食品機械用潤滑油を選ぶ

食品機械用潤滑油は、食品との接触可能性、使用箇所、機械の指定粘度、温度や水・蒸気などの使用条件を踏まえて選定します。

札幌アポロではNSF H1登録済みの製品を取り扱っていますので、使用箇所に合う製品を以下からご確認ください。

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